当事者意識について

 



当事者意識について




 多くの経営者の方から、「うちの社員には当事者意識がない。」、「もっと当事者意識を持ってくれると社内のモチベーションも上がるし、効率的になるのだが」と言うようなお言葉をよく聞きます。

 

確かに社員全員が「当事者意識」を持ってくれたら、生産性も上がりますし、経営者としましてはとても楽になります。

 

皆様もこのようなことを感じられたことはありませんか?

 

当事者意識の意味をネットで調べますと、「自分自身が、その事柄に直接関係すると分かっていること。関係者であるという自覚(デジタル大辞泉)とあります。

 

先日、あるお客様で行った課長研修で参加者の課長さんたちに当事者意識の意味をお伺いしますと、「役割をきちんと遂行する意識」、「自分から自主的に動くこと」、「自分事として動く意識」というような回答で、概ね意味はご理解されていていることが分かります。

 

しかし、日常の実際の行動面で、皆様の部下たちはこのように動かれていらっしゃるでしょうか。

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私は新卒でリクルート社に入社し、16年半勤務しましたが、リクルート社の特徴を表す言葉である「圧倒的当事者意識」を実際に体現し、その中で育ち、また後輩や部下達にもその意識を引き継ぎました。

 

入社当時から、先輩や課長に何かものを尋ねたり、質問をしたりすると必ず、「君はどうしたい?」と逆に訊かれ、そして「じゃあ、やってみたら?」と任されます。

 

「こうしろ」と答えを教えてくれるのではなく、自分でどうしたら良いかを考えて、自ら行動するように促されるのです。これを繰り返し行うことにより、次第に当事者意識が育まれます。

 

 逆に、当事者意識が無い場合、どのようになるか考えてみましょう。

 

仕事で起こる物事に対して自分事として捉えていないので、自ら主体的に動くことなく、常に受け身で、誰かからの指示を待つようになり、全て他人任せになってしまいます。

 

そうすると、起こったことに対して自分に責任があると思っていないので、すぐに出来ないことや失敗したことの言い訳をするようになり、さらに現状に対して危機感が無いために、同じようなミスを繰り返す人になってしまうのではないでしょうか。

 

また、日々変化している現実を受け入れられず、現状を維持したいという考えのもと、「ゆでガエル」の例のように、生ぬるい現状に浸り、変化をしようとしないまま、結果として死んでしまうことになります。

 

それでは、部下の当事者意識を高めるために、経営者や上司が行うべき行動、または心構えはどのようなものでしょうか。

 

部下の当事者意識を高めるポイントとして、次の5点があげられると思います。

 

1.  部下に対して、仕事の目標や期待値を明確に伝える

2.  部下との信頼関係を構築する

3.  部下の意見や提案について積極的に傾聴する

4.  部下の成果や貢献を承認し、適切に評価し褒める

5.  部下の能力向上や成長を親身になってサポートする

 

以下、もう少し詳しくお話しします。

 

1.  部下に対して、仕事の目標や期待値を明確に伝える → 部下が自分の仕事について、会社や部のビジョンとの関係性を理解し、その意義や自らの責任を自覚する事によって、やりがいを感じ、モチベーションを高く維持して、業務を遂行するようになります。目標を明確に自覚しておりませんと、何のためにこの仕事をしているのか理解できません。また、自分は上司や周囲から何を期待されているのかを明確に示してあげることも大切です。まず、部下と目標や期待する事についてじっくり話し合いましょう。

 

2.  部下との信頼関係を構築する → 部下との信頼関係の構築は何よりも優先されるべき事項です。部下が自分の上司に対して信頼感や尊敬の念を持つことが、コミュニケーションをスムーズにし、上司がいう事を素直に受け入れ、協力体制も築かれます。ここで言う、「信頼関係を構築する」ためには以下のような行動が有効です。

 

(ア)  部下の個性や価値観を尊重して受け入れ、偏見や先入観を持たない

(イ)   部下の仕事ぶりやプライベートな様子についても常に関心を持ち、興味を持って、部下のことをしっかり見ている事を示し、励ましの言葉をかける

(ウ)  部下の問題や課題、困難に対して共感を持って寄り添い、部下が必要としている支援やアドバイスを与える

(エ)  部下との約束は小さなものでも必ず守り続ける

 

3.  部下の意見や提案について積極的に傾聴する → 部下が自主的に自分の考えや意見、提案などを発信している事について、積極的に聴き、その提案などに対して、評価しフィードバックを続ける

 

4.  部下の成果や貢献を承認し、適切に評価し褒める → 部下が自分の仕事に自信や誇りを持ち、さらに自ら向上心を持ち、挑戦するマインドを持つことができるようにする

 

5.  部下の能力向上や成長を親身になってサポートする → 部下が自分の仕事に必要なスキルや知識を身に付け、キャリアアップや成長をし続ける環境を作るようにする以上

 

 以上の行動や心構えは、部下の当事者意識を高めるだけではなく、組織全体の生産性や創造性、チャレンジ精神を向上させ、モチベーションアップも図ることが出来ます。

 

 部下の当事者意識を高めることを重視し、日々のマネジメントに具体的な行動や心構えを取り入れていくことが望ましいですね。

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